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鍼治療ってどんなもの?東洋医学と西洋医学の違いについても解説

診療科目解説  |

中国で生まれた鍼治療は、日本や韓国などのアジア圏をはじめ、ドイツやフランスといった欧米諸国など、世界100か国以上で採用されている治療法です。鍼治療は発祥から2000年以上という長い歴史を持っています。日本においても、1500年前から行われてきました。現在では、人類史において最も普及した伝統医療となっています。

こうして古くから行われてきた鍼治療ですが、日本においては「一度も受けたことがない」と言う方が大半かと思います。日本で受ける治療行為と言えば、病院など医療機関での外科治療や薬物治療が一般的です。このような治療は「西洋医学」と呼ばれるものです。西洋医学は「すでに発発症した病気の治療」において特に成果を発揮しやすいという特徴があります。一方、鍼灸などの治療は「東洋医学」と呼ばれており、病気や不調の「根本的な治療」において効果的であるとされています。

東洋医学と西洋医学の違い

東洋医学と西洋医学は、体の不調に対する根本的な考え方が違います。その違いを説明する時、よく故障した機械の修理が例に挙げられます。

ある機械が故障し、故障した箇所を確認したところ、ネジが1本破損していたとします。この破損したネジを新しいものに取り換え、機械が正常に動くようにすることが西洋医学の治療です。一方東洋医学では、このネジの破損の原因を探ろうとします。他の部位からの圧力なのか、オイル漏れによる腐食なのか、それとも経年による自然劣化なのか。破損した1本のネジだけでなく、機械全体の具合を見て、同じ故障が起きないよう修理を施すということが東洋医学の基本です。

このような修理(治療)方法の違いから、東洋医学は修理の完了、つまり人間で言うところの治療完了までに、西洋医学より長い時間を要します。忙しい現代においては不調をじっくりと取り除くことは難しく、不調の箇所をダイレクトに治療する西洋医学の方が広く浸透しているのです。

鍼治療は「人間の治癒力」を引き出す治療

東洋医学の1つである鍼治療は、不調の箇所に直接治療を施さない場合もあります。不調が出た箇所、つまり弱っている箇所に直接施術を行うことは、体によりダメージを与えることに繋がるからです。人間の体は機械と違い、高い自己治癒能力を持っています。体になんらかの不調があった際、本来であれば、人間の体はその不調を取り除く力を持っているのです。鍼治療では不調にダイレクトに手を加えるのではなく、その人間の体が元々持つ治癒力を引き出し、自分自身の力で病気などの不調を回復させることを目指します。そのため、西洋医学では回復が見られなかった顔面神経麻痺や頭痛、腰痛などの症状でも、鍼治療により改善が見られる場合があります。

人間の体は機械以上に複雑で、各部位や各器官が複雑に作用しあって成り立っています。東洋医学では1つの不調を取り除くために、体全体に働きかけて回復を目指します。そのため、すぐに効果が実感できないこともあるでしょう。しかしながら、「不調がなにか」ではなく「なぜ不調が起こったか」まで突き詰めて治療を行うことは、長期的に見て健やかな生活に繋がりやすいと言えます。医療機関での治療でなかなか不調の改善が見られないという場合には、鍼治療を検討してみても良いかもしれませんね。

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